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先日、サイバーエージェントの藤田さんのブログのエントリ「捨てる会議」で捨てたもの|渋谷ではたらく社長のアメブロを読みました。こんなに大きな会社でここまでちゃんと「捨てる」のってすごいなぁと、とにかく思いました。みなさんも働いている会社の同僚から、「この制度イケてない」「このスペース使われてない」「こういう習慣いっつも疑問に思う」などなど、会社の制度や文化への不満は一度ならず耳にした事があるのではないでしょうか。

でも、そんなイケてない制度や仕組みなどをスパッと潔く「捨てる」のはそうは言っても結構大変だなぁと思ってしまいます。と思うからこそ、サイバーエージェントの「捨てる会議」がすごいなぁと思ったのですが。そこで今回は何で大変だと思うのかをちょっと整理してみたいと思います。

捨てるためにはどうしたらいいか

例えば自宅の引越の荷造りを考えてみます。断捨離よろしく、ここぞとばかりに不要品を処分したくなる派なのですが、その時の捨てる早さは我ながら尋常じゃないスピード感です。対象となるものを手に取り、いるいらないの判断を即座にして、いらないものを捨てる。この場合の判断は僕だけで考えればいいので、スピード感を持って断捨離を実行できます。

これが会社になると、どうでしょう。社長はこう思ってる、部長はこう思ってる、従業員は?アルバイトは・・・?とかになるとなかなか対象物への価値観が揃わないことが多いのではないでしょうか。

スーパーウルトラトップダウンとか、その担当者に絶対的な断捨離権が与えられている場合を除き、会社という単位で様々な物を捨てるには、「これいらないね。うん、いらない。」と合意形成をすることが必要になってくると思います。捨てるという行為よりも、この合意形成が難しくなっているケースが多いんじゃないかなぁと思いました。

何で合意形成が難しいのか

じゃあ、合意形成したらええやん。と思うのですが、会社には色んな立場や職種の人がいます。その人達10人が10人同じ思考や価値観を持っているわけではありません。そうすると、制度や仕組みを実行した後の捉え方も違ってくるのかもしれません。

その結果として、

  • 制度や仕組みの恩恵が平等でない
  • 言い出しっぺが捨てたがらない
  • 代替案がよくわからない

とかの状況が生まれてくるのではないかと思います。もうちょっと掘り下げてみます。

制度や仕組みの恩恵が平等でない

例えば、社内にフリースペースを作ったとします。そのスペースへの距離が物理的に近い人は利用しやすく、距離が離れていたり、別のビルの勤務の人は使いづらかったりすると思います。人事とかの評価制度とかもそうです。制度設計の考え方次第では、優秀な人でも評価されやすくなる場合と、そうでなくなる場合が生まれると思います。

このように、制度や仕組みは基本的に平等に作用しません。その結果、Aさんは「良い制度だ!」と思っていても、Bさんは「よくわからない」みたいになったりします。

言い出しっぺが捨てたがらない

その制度や仕組みを企画した人や設計した人からすると、そこそこ思い入れがあったりするケースがほとんどかと思います。その後、結果が芳しくなく、「これいらなかったね。うん、いらない。」とするのは結構勇気が必要なのかなと思ったりします。

サラリーマンとしては確かに、過去の自身の仕事を「これ、失敗だったかもしれません。やめちまいましょう!」とか言うべきだとは思うものの、なかなか言いづらい側面もあったりするのかと思います。

代替案がよくわからない

ある制度を取りやめようとするとき、「代わりに何するの?」みたいな意見を言われたり、要望をされたりする事もあるかもしれません。でもそもそも、その内容に対して過去に最善と考えてリリースした制度の場合特にですが、代替案を出すのって結構難しかったりします。そこで止まり、結局現状維持みたいになってしまうケースも多々あるのかな?と思いました。

どうしたらちゃんと捨てる事ができるのか

では、どうしたら合意形成の障害を取っ払い、過去の様々な施策等を捨てる事ができるのでしょうか。いくつかポイントになりそうな事を考えてみました。

実行段階で目的を明確化しておく

制度や仕組みなどの施策を検討する段階で、目的は何なのかをはっきりさせておくことがまずは大事なのかと思いました。具体的には、

  • 何の課題を解決したいのか
  • 施策をやった結果どうなっていると成功なのか
  • その施策が成功した時誰がどうなっているべきなのか

などです。このあたりを明確化しておくことで、その施策の成否の判定が後に行い易くなったり、当初の想定との差分を分析することによって、改善案を出しやすくなったりするのではないかと思いました。

現状把握をきちんと行う

前段とつながる部分が多いのですが、施策を実行した後の効果測定を適切に行うこともポイントだと思います。

  • 施策がどのように機能しているか
  • 誰が利用しているか
  • それは想定(目的)通りか否か

などなど、施策によって見るべきポイントは様々だと思いますが、目的が明確化されていればここは測定しやすくなったりするのかなぁと思ったりします。

勇気をもつ

どんな精緻な検討の末に実行した施策でも全てが想定通りに成功するとは限りません。失敗した場合、勇気を持って、「これいらなかったね。うん、いらない。」と決断したり、別の案を検討するなどの決断を、勇気を持って断行することも大切です。

この時、失敗=無意味ではなく、失敗だったとわかることも大事な成果だと思います。本当の無意味は、失敗なのか成功なのか不明瞭なまま、施策がリビングデッドとなる事だと思うので。

というわけで

藤田さんのブログを拝見し、組織単位で「捨てる」ことの難しさを考えてみました。ここまで一気に断行できるのは本当にすごいなぁと思います。自身でもいろいろ検討していく時に、肝に命じて行きたいと思います。がんばります!


補足

冒頭の画像は、高校生時代、美術の授業で書いたその名も「なべやかん」というタイトルの絵画です。どう考えてもいらないと思うのですが、何故かまだ実家で保管されているようです。断捨離がんばります。