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会社としていろいろ活動を行っていると、それに伴って大体の場合お金が動きます。クライアントに対して商品を販売すると口座に入金が、社内でイベント(飲み会)を開催しよう!となると、それにともなって飲食店などへの支払が発生したりします。

今回は、お金が出て行く方を対象にした、稟議書の運用を開始した時のはなしを書いてみます。

稟議ってそもそもなんだろう

《「ひんぎ」の慣用読み》会社・官庁などで、会議を開催する手数を省くため、係の者が案を作成して関係者に回し、承認を求めること。「―書」

引用:りんぎ【稟議】の意味 - 国語辞書 - goo辞書 | http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/233158/m0u/

とありました。少人数ベンチャーはみんな大体忙しいです。「パソコン壊れたので買っていいですか?」みたいな案件でいちいち会議を開いているわけにはいきません。そのために、稟議(書)フローの構築が必要になります。

稟議の種類

そんな稟議ですが、分けてみると、色々種類がありそうです。

  • 購買稟議:「あれ買ってもいいですか?」「この月額hoge円のサービス利用してもいいですか?」
  • 契約稟議:「あの会社とこんな契約結んでもいいですか?」
  • 販売稟議:「あのお得意先にこんな感じで見積作ったんですけど案内していいですか?」
  • 開発稟議:「こんな新プロダクト作ろうと思うんですけど、いいですか?」
  • 投資稟議:「あのイケてる会社に投資しようと思うんですけどどうですか?」

みたいな感じでしょうか。このあたりは、会社の事業内容やワークフローによって様々あるかと思います。nanapiでは、契約稟議は、捺印申請フローとかでカバーしてたりするので、ほぼ購買稟議のみで運用が回っています。なので、以下記載することは購買稟議を対象にした内容になります。

稟議書を書くのは面倒くさい

それまで、

「社長!ぼく、入社したけどキーボード無いので買ってもいいですか?」

「買い忘れてた!いいよ~」

みたいなやりとりで購入できていたのが、フローを開始した途端に、書類を書かなくてはいけなくなります。スーパー面倒くさいです。

それでもやっておいた方がいい点がいくつかあります。ちょっとそのあたりにも触れておきます。

従業員本人の身を守ることになる

さっきのキーボードの例を考えてみましょう。口頭で承認を得て、キーボ―ドを購入し、届いたものを早速使おうと箱を開けていると、

「お、キーボード買ったの?」

「はい!先日許可いただいたので購入しました!」

「そうだっけ?買っていいって言った覚えないよ?」

「えー!」

みたいな事にはならないでしょうか。人間忘れやすい生き物です。言った言わない問題は少なからず起きます。仮にそんな事が起きてしまっても、稟議書があれば、きちんと承認を得ている事が両者で確認ができるので、そんなトラブルも起きなくなります。

会計処理がすんごいやりやすくなる

仕訳作業をしていると、かなりの頻度で「これは何に使ったんやー!」となる取引が出てきたりします。そんな時に、稟議フローが完璧に行われていると、用途や内容が正しく確認でき、処理が迅速に行えたりします。

すごいちゃんとしてる会社感が出る

これはフィーリングの話ですが、結構重要なポイントです。社内外に「ちゃんとしてる会社」と思われる事は全く損の無い話だと思います。社外のアドバイザー(税理士さんや監査法人さんなど)の方に、「ほとんど物品購入ですが、きちんと稟議書やってますよ~」と一言言えば、「お~!すごいですね~」とお褒めいただけます。

もう少し真面目に書くと、お金の流れにおける、特に出金側に関して、一つ一つ「稟議書」という、会社の公的な承認プロセスを経て行われている。と言う事実がきちんと示せるようになるので、それだけ統制(ガバナンス)が機能していると受け止めていただけるようになります。

そんな稟議を始めるなら少人数の時からがオススメ!

記憶が曖昧ですが、nanapiではまだ正社員が5名にも満たないころから稟議フローの導入を行いました。少人数の時からやっておいたほうがいい理由としては、

  • ルールが浸透しやすい
  • その分、徹底しやすい
  • 後から入社する新人も従いやすい
  • イレギュラーケースも相談しやすい

などです。大人数に慣ればなるほど、新規でルールやフローを作って浸透させて徹底をお願いするのはその分労力が大きくなります。また、会社の「購買活動のログ」の意味合いとしても早ければ早い方がいいと思います。

稟議フロー検討のポイント

前置きが長くなりましたが、ここからが本題。稟議フローを検討する時のポイントを書きます。

誰が・いくらまでの設計

決裁(承認する)権限を与える役職者の設定と、その金額に関してです。これさえ決まってしまえば、稟議フローは完成したと言っても過言ではありません。例えば、以下みたいな設定になります。

  • 10万円以下:部長以上の役職者が単独で決済可能
  • 10万円以上:役員3名以上の承認で決済可能
  • 100万円以上:取締役会にて承認

金額の基準の考え方ですが、例えば、お父さんに無断でプリンを買っても怒られないと思いますが、大型テレビを無断で購入するとさすがに「事前に相談しろよ!」となると思います。

ただし、この部分は、各家庭の価値観や、金銭事情が大きく影響をする部分です。場所を会社に変えても同じです。配慮すべきは、

  • 金額の設定を低くすればするほど、稟議の承認プロセスへの介在者が増え、スピードが遅くなる
  • 金額の設定を高くすればするほど、経営の意図しない購入が行われた際のリスクが大きくなる

ということです。ここのバランスを見極めつつ、金額基準と役職基準を考えるといいと思います。

稟議が不要なものを決めよう

矛盾した内容かと思いますが、所謂ブラックリスト方式で、「会社のお金を使うけど、稟議が不要なもの」を決めておきましょう。稟議が不要なものの基準ですが、「そんな事にいちいち稟議書作ってたら仕事にならないよ!」みたいな支払が対象かと思います。具体的には、

  • 交通費
  • 通信費(郵送代など)
  • 会議費(取引先などとの外での打ち合わせのコーヒー代など)

くらいです。電車に乗る前に稟議書作る訳にはいきません。そういったものを対象にします。

稟議書のフォーマットや捺印後の保管方法

誰が・いくらまでの設計、不要なものを決めたら

  • 内容・用途
  • 金額
  • 承認欄

などを盛り込んだ稟議書のフォーマットを作って、手続きの完了した稟議書の保管方法を決定しましょう。

※稟議書のフォーマット作り方に関してはまた別の機会に書きます

おまけ:電子稟議と紙ベースの稟議どっちがいいの?

これだけテクノロジーが進化してるのに、未だに紙ベースで稟議?グループウェアとかでオンラインにしたほうがいいんじゃないの?などと何度か自問自答したことがあります。聞かれた事もあります。

ですが、nanapiでは現在も紙ベースでの運用を継続しています。その理由としては、

  • 電子稟議は後から色んな修正ができない(ログとして正しい)ので、紙ベースの方が「柔軟」
  • グループウェア導入コストはウワサによると結構高額

などです。コストはさておき、「柔軟」の部分ですが、ここをあまりにも正直に書きすぎると、「ちゃんとやってないじゃないか!」となるかも知れませんので、割愛させていただきますが、稟議を普段きちんとやっている会社においても、「うっかり」はあるものです。そうした場合、柔軟に対応できるのは紙だったりします。作りなおせばいいので・・・。

一方で、コストが気になる、グループウェア等ですが、複数に拠点を構えて、承認者がバラバラだったり、大人数で捺印リレーも大変な規模な会社となった場合は、その威力を発揮すると思います。

なので、オフィスが1拠点であれば、数百名程度までは、紙ベースの方が何かといいかなぁと思ったりしてます。

というわけで

今回は稟議に関して書いてみました。5名くらいの時から初めて、何度かフロー改善や変更したりもしてます。企業活動にはお金がかかるものです。それを正しく、適切なスピードで決済取得が可能な稟議フローに常にしておきたいものですね。がんばります!