今回は、2014年2月にnanapiで施行した、アルバイトさん向け社員登用制度を作った時の話を書いてみます。リリース後、1年がもうすぐ経とうとしていますが、今も施行されている制度で、実際に、突破して社員として活躍してくれているメンバーもいたりします。

なんで作ったのか

作った背景は、ざっくりと以下です。

  • これまで、アルバイトから社員登用したメンバーは数名いたが、きちんとした制度が無かった
  • それまで中途を中心とした経験者採用がメインだったが、中長期的に考えると、若年層(ポテンシャル採用)へのアプローチも行ったほうが良さそうだった
  • 対象となりそうなアルバイトさんが何人かいた

などです。いろいろタイミングが揃ったのでバーっと作ってリリースしました。

すんごいいろいろ上手く行った後に、その後のアルバイトさんの母集団形成時から、そういった優秀そうな若年層にリーチできるようになるといいなぁと考えたりもしてました。

どんな制度なのか

こういった制度に私情を持ち込んで大変恐縮でしたが、プロ野球が好きなので、「nanapiトライアウト制度」と命名しました。

参考:12球団合同トライアウト - Wikipedia

※今更調べてみたら、ちょっと意味違いますねこれ・・・。

制度の中身としてはカンタンです。

tryout_flow

  1. エントリー:アルバイト本人からの挙手
  2. 評価
    1. 現場評価:対象のアルバイトさんと普段接している社員による評価(アンケート形式)
    2. 面接:社長+人事による面接を実施
  3. 採否の決定

みたいなシンプルな流れで設計しました。

制度設計において検討したポイント

中身はいたってシンプルな制度ですが、それでも議論や検討したポイントはいくつかあります。

  • 何をどう評価するか
  • エントリー時への配慮
  • ネガティブな結果になった場合どうするか

などが主な論点でした。

ちょっと細かく振り返ってみます。

何をどう評価するか

冒頭でも書きましたが、いわゆるポテンシャル採用が対象となる制度です。対象となるスタッフのスキルやキャリアは未完成な部分を多分に含んでいると考えていました。その場合、何を、どう評価すべきかの整理がこの制度における肝になります。

何を評価するか

matrix

まず、図のようなマトリクスで整理しました。

まず、X軸は、「専門性」と「共通基準」です。

  • 専門性:現在勤務している、又はエントリーした職種ごとに求める専門的な分野の能力やスキル
  • 共通基準:職種関係なく、全従業員に求めるスキル・能力

としました。

Y軸は、「現在の能力」と「将来の能力」です。

  • 現在の能力:今、就業してもらっている中でのパフォーマンス
  • 将来の能力:そのスタッフが将来発揮してくれるであろう、パフォーマンスや、成長の領域

としました。

日々の業務から、「現在の能力」に関する情報が大量に得られることが、内部登用の最大のメリットです。ただし、ポテンシャル層の採用なので、評価では「将来の能力」を中心に行っていくべきだろうと考えました。

どう評価するか

matrix2

整理したマトリクスを元に、表のような感じで評価方法を設定しました。

現場評価

「専門性」に関しての評価は、対象となるスタッフと普段接している現場の社員からの評価を行うようにしました。社内では「現場評価」と呼称しています。エンジニアのアルバイトはエンジニアの社員が、デザイナーのアルバイトは同様にデザイナーの社員が、編集のアルバイトは以下同文のように、対応する職種の社員がマネジメントをしているケースがほとんどです。

同職種として、普段直接接しているからこそ、職種としての適正等見極めるのにふさわしいと考え、そのようにしています。

面接

一方で、「共通基準」に関しては、社長+人事メンバーという構成による面接を実施し、担保することにしました。

評価の際のポイント

ここでのポイントとなるのは、「何を評価するのか」のパーツで記載した、「将来の能力」にフォーカスして判断を行うということです。繰り返しとなりますが、このスキームは、ポテンシャル層の採用を念頭に置いた制度です。

現在のパフォーマンスはあくまで参考材料とし、その人物の伸びしろ(≒ポテンシャル)を評価しないことには矛盾が生じます。なので、現在のパフォーマンスを参考にしながらポテンシャルの大きさを計る評価のアプローチとなります。

また、留意すべきは、「情」です。特に現場評価においては、普段接している社員による評価となります。その関係性や、年数が経過していればしているほど、「情」の部分が大きく働いていしまうのは、必然。そのバイアスを軽減するため、現場評価に関しては、単独ではなく、複数の評価者を設定し、実施することとしました。

さらに、最終的な採否決定に関しては、現場評価、面接を実施したメンバー全員で議論し、決定するフローとし、複数の目を通すことによって、その判断が会社にとって、また挙手してくれたスタッフ自身にとって、よい判断となるかを議論し決定することとしました。

エントリー時への配慮

entrysheet

nanapiのアルバイトスタッフの大半が、学生さんか、フリーターです。いわゆる面接対策みたいな事をやってきた方ばかりではありません。そうした場合、面接対策のノウハウを保持できていないスタッフさんも少なからず存在します。

そこで、エントリー時に応募背景等をまとめてもらい、面接に望んでもらえるよう、エントリー用のフォーマットを用意しました。選考を行う側も、せっかくなのできちんと思いや考え、応募背景などを伺った上で判断したいと考えました。内容としては、

  • nanapiでこれまでやってきた業務のまとめ
  • 今後、何をやっていきたいのか
  • そのステージとして、nanapiをまず選択したのは何故か

の3点です。ぶっつけ本番で面接で聞く形よりは良かったのではないかと思います。

ネガティブな結果になった場合どうするか

ここは結構議論になりました。通常の選考の場合は、「不採用」とお伝えするだけにとどまりますが、内部選考の場合は、結果に関わらず、次の日以降も顔を合わせて一緒に業務を行っていく仲間です。

そこで、トライアウト制度においては、

  • 再エントリー可能
  • 検討結果の本人へのフィードバックを実施

とすることにしました。なぜ不採用の判断をせざるを得なかったのか、そこをクリアにするためにはどんな努力すべきポイントがあるのか。など、できるだけ細かくフィードバックを行い、再エントリーに備えてもらうような設計にしました。

やってみてどうだったか

制度をリリースし、もうすぐ1年近くになりますが、実際に制度を利用して社員化し、活躍してくれているメンバーが数名いるので、まずは良かったなぁと思います。

全てでは無いですが、一部の選考にも関わらせてもらいました。通常の中途採用とは異なった選考の難しさがあり、「ポテンシャルって計るのすんごい難しいなぁ」と感じています。また、同じポテンシャル採用とはいっても、職種ごとに適性を計る観点が違う部分も少なくないので、改善すべきポイントなども多く残っています。

というわけで

そんなトライアウト制度のある、nanapiではアルバイトを募集したりしています。

ご興味ある方は是非エントリしてみてください。いっしょにがんばりましょう!