先日、株主名簿の作り方に関してエントリしましたが、今度は新株予約権(ストック・オプション)の名簿の作り方に関して書いてみたいと思います。

株主名簿の作り方に関しては以下を参照下さい。

【雛形あり】株主名簿の作り方 : てらもとblog | http://terafeed.jp/20141127/shareholder_registry/

そもそも新株予約権(ストック・オプション)ってなんなのさ

「新株予約権」という言葉よりも、「ストック・オプション」という方がよく耳にするかもしれません。簡単に言うと、「将来株の値段がいくらに上がるかかわかんないけど、どんだけ株価が跳ね上がっても、今の値段(行使価格)で買っていい権利あげるよ〜」という事です。

例えば、

  • 200X年に、行使価格10円でストック・オプションを取得
  • 201X年に、株価が10倍になったところで、ストック・オプションの権利を行使して株式を取得

した場合、行使価格10円で100円の価値の株式を取得できるので、それをすぐにまた売却すると、90円の利益をGETできます。

上記のようにうまくいくケースばかりではないかもしれませんが、簡単に言うとそんな感じかと思います。

創業後間もないベンチャー企業とかだと、お財布事情が厳しいので、従業員に対し高い給与を払うことが難しく、でも優秀な人材を確保したい。みたいな時に、このストック・オプション制度を導入し、給与は我慢してもらいつつ、会社が大成した暁の利益を信じて、みんなでがんばろー!となるような使い方が一般的かと思います。

「新株予約権名簿」ではなく「新株予約権原簿」という

そんな新株予約権ですが、そのリストタイトルは、「原簿」といいます。株主は「株主名簿」だったのですが、新株予約権は「原簿」となり、「新株予約権原簿」といいます。

いろいろ調べてみたものの、何でなのかよくわかりませんでした。「株主」というと「人格」っぽいから、「名簿」になって、「新株予約権」は権利なので、人格ではないから、「原簿」になるのでしょうか。詳しい人いましたら教えて下さい。

新株予約権原簿に書かなきゃいけないこと

そんな新株予約権原簿ですが、株主名簿同様、会社法によって記載しないといけないことが決まっていたりします。

参考:会社法第249条 - Wikibooks | http://ja.wikibooks.org/wiki/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E6%B3%95%E7%AC%AC249%E6%9D%A1

一 無記名式の新株予約権証券が発行されている新株予約権(以下この章において「無記名新株予約権」という。) 当該新株予約権証券の番号並びに当該無記名新株予約権の内容及び数

二 無記名式の新株予約権付社債券(証券発行新株予約権付社債(新株予約権付社債であって、当該新株予約権付社債についての社債につき社債券を発行する旨の定めがあるものをいう。以下この章において同じ。)に係る社債券をいう。以下同じ。)が発行されている新株予約権付社債(以下この章において「無記名新株予約権付社債」という。)に付された新株予約権 当該新株予約権付社債券の番号並びに当該新株予約権の内容及び数

三  前二号に掲げる新株予約権以外の新株予約権 次に掲げる事項

イ 新株予約権者の氏名又は名称及び住所

ロ イの新株予約権者の有する新株予約権の内容及び数

ハ イの新株予約権者が新株予約権を取得した日

ニ ロの新株予約権が証券発行新株予約権(新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であって、当該新株予約権に係る新株予約権証券を発行する旨の定めがあるものをいう。以下この章において同じ。)であるときは、当該新株予約権(新株予約権証券が発行されているものに限る。)に係る新株予約権証券の番号

ホ ロの新株予約権が証券発行新株予約権付社債に付されたものであるときは、当該新株予約権を付した新株予約権付社債(新株予約権付社債券が発行されているものに限る。)に係る新株予約権付社債券の番号

なんだか難しいです。新株予約権は、行使価格だけではなく、その権利を行使していい期間や、その他様々な取り決めを、かなり細かく決めて対象となる従業員と契約書を交わしたりするのですが、そのトリセツを、「新株予約権発行要項」というものにまとめてあったりします。

上記、「ロ イの新株予約権者の有する新株予約権の内容及び数」と記載があるように、トリセツの中で重要な箇所に関して全部記載しなさいよ〜!というのが会社法で定めているルールになります。

新株予約権原簿を作るなら簡易版が楽ちん

ルール通りの内容で作成してもいいのですが、それはタイヘンなので、今回は簡易版で進めたいと思います。

以下に記載のない各回新株予約権に関する新株予約権原簿記載事項は、別紙各回の『新株予約権(ストックオプション)発行要領』記載の通りとする。

と記載してしまえば、色んな記載事項をショートカットできます。その上で記載すべき内容は以下くらいです。

  • 種類
  • 取得日
  • 株券番号(新株予約権証券を発行している場合)
  • 目的たる株式の数
  • 行使金額
  • 氏名
  • 住所

いくつかポイントを解説します。

種類

新株予約権はその発行を株主総会で決議します。その発行が3回目だと、「第三回新株予約権」などと呼んだりします。種類の欄に記載します。

取得日

その権利を取得した日です。新株予約権の権利を取得する従業員と、会社の間で契約書を交わすことが一般的なのですが、その契約書締結後、会社から、権利の割当を通知するのですが、その通知日とするのが一般的かと思います。

目的たる株式の数

権利を行使した際に、取得できる普通株式の数を記載します。例えば、新株予約権を1つ保持していて、取得時点では、目的株式数は同じ1としていて、後日株式を10分割した場合、新株予約権の保有数は1のままですが、目的たる株式数は10に同じく分割されたりします。

行使価格

新株予約権の権利を行使する際に必要になる金額です。新株予約権の発行をする際の会社の価値(時価総額など)から価格が決まったりします。

まとめるとこんな感じ

StockOptionRegistry

サンプル社では過去3回に分けて新株予約権を発行しており、その予約権を4人に付与。また、その行使価格は各回で5万円づつあがっている感じの構成で作成してみました。

また、外部から、新株予約権原簿の提出を求められた際、会社として公式のものだという証明を行うため、サンプル社の代表名義の捺印欄もくっつけてあります。

雛形

上記で例示した、新株予約権原簿のテンプレートを作成し、アップロードしてあります。ご自由にお使い下さい。

20141214_新株予約権原簿雛形 http://goo.gl/AjgvPl

※Googleドライブに飛びます。

※2015/10/16追記:上記リンク先の、Googleドライブの、フォルダ及びファイルへの「アクセス権のリクエスト」を何度か頂戴しておりますが、申し訳ありません。ファイルの内容はそのままにしておきたいので、アクセス権はお渡しをしておりません。

なお、【ダウンロード用】というファイルに関しては、Excel型式でのダウンロードが可能な設定にしております。そちらをダウンロードいただき、ご自由にご利用下さい。

とういうけで

新株予約権原簿の作り方に関して書いてみました。最近ちょっと忙しかったのを言い訳に、更新サボってしまってました。今後はもうちょこっとがんばっていきます。